怪紀行奈良・予約必須のレア博物館 東洋民俗博物館
■あやめ池遊園地亡き跡
どうも最東です。
日本にはその土地を代表する遊園地があるものです。例えば大阪ならUSJがそれにあたるでしょう。東京ならTDL(千葉だけど)、名古屋にはレゴランドがあります。
もちろん、これらは大都市を代表する遊園地ですがそれ以外だと兵庫のネスタリゾート、山梨富士急ハイランド、三重にはナガシマスパーランドと鈴鹿サーキットとふたつもあります。
一方で惜しまれながら閉園に至った遊園地もあります。
奈良ドリームランド、生駒山上遊園地、そしてあやめ池遊園地です。え? 全部奈良じゃないかって。たまたまです。え? 生駒山上遊園地はまだ現役だって? 失礼いたしました。
2004年に閉園したあやめ池遊園地は1926年に開園し、78年間も営業していました。
最東も閉園が目前に迫った2004年に一度訪れたことがあります。
閉園間近なので仕方ありませんが、古き良き昭和の遊園地……といった趣でした。
最東が親しみのある遊園地と言えばひらかたパーク。今やもっとも古くから営業している遊園地として、あるいは岡田准一扮するひらパー兄さんで有名になりました。
とはいえ今のひらパーと最東が子供のころのひらパーはまるで別の遊園地。ドナルドダックの偽物みたいなマスコットが懐かしい。
開園も1910年とあやめ池遊園地よりも古い。ビバ、ひらパー!
……いやいや、そういうことではなくあやめ池遊園地が開園した当時、一帯はリゾート地として華々しかったといいます。宿泊施設や赤線区域もあり、まる一日遊んで過ごせる場所でした。
そしてその中に『東洋民族博物館』がパビリオンのひとつとして開館しました。
■東洋民族博物館
直木賞作家と鮎川哲也賞作家、それといずこ作家の四人(いつもの面々)であやめ池にある東洋民族博物館へやってきました。
実は東洋民族博物館、「なあんか時間あるし、TMH(東洋民族博物館)行っちゃおっか☆」「ヒャッハァ!」というその場のノリで行っても開いていません。基本的に休業していて、行く日時を事前に予約しておかないといけないのです。
リサーチスキルがブルーダイアモンドの最東には当然その辺のことはぬかりなく、予約時間通りに到着。
すると玄関前のベンチにヴォルフガング・クラウザー伯爵(餓狼SPのラスボス)の威厳で待ち構えるひとりのおじさんが。
レッグトマホークか、ブリッツボールか、と構えていると「よくいらっしゃいましたなぁ」とにこやかに歓迎されました。館長でした。
入館料を支払い(大人500円子供200円)中に入ると圧巻の品々。そしてそのすべてが素敵に怪しい!(大好き)
「これはキリストの踏み版ですな、これはパラオで使われてたお金ですわ」
と館長。なんと、たった500円の入館料で館長がひととおり展示品について説明してくれるのだ!
『東洋民族博物館』とあるとおり、東洋各国で館長の父であり東洋民族博物館設立者でもある九十九黄人氏がその足で蒐集した品々が所せましと展示されてある。
それこそなるほどと思うものからわけわからんものまで幅広い。中国韓国などの我々日本人と馴染み深い国からジャワ島やパラオまで様々な奇品珍品で溢れている。
九十九氏は蒐集した展示物のような、トリッキーで個性的な人物だったようだ。100歳を記念して撮影した写真にはシルクハットをかぶり、まるでサーカス団の団長のような恰好の氏がまばゆい笑顔でおさめられていた。
東洋の世界各国から集められた展示物は見応え充分。それに加えて館長の案内が楽しい。真偽が怪しいものもありつつ、それも醍醐味のひとつだと思うと楽しいのひと言だった。
■さらに秘蔵の資料室へ
ひととおり見終えると、館長の案内で奥の部屋へと行きました。
残念ながらここは撮影禁止ということで画像はありませんが、一枚だけ許可をいただいたものがこちら。
冒頭であやめ池遊園地を紹介した際、開園当時はリゾート地だったと書きましたがそれを証明する当時の地図です。
資料室は先代館長の九十九氏の秘蔵書が保管されていました。……といえば聞こえはいいのですが、九十九氏は春画や性玩具、ジョークグッズの蒐集にも情熱を傾けていたようでここにはその方面のいわゆるエロ系の秘蔵品が数多くありました。
ハリガタだったり、置物だったり、とにかくキノコや貝系の造形物のオンパレード。
しかし、ふざけた(失礼)秘蔵品だけではなく半分以上は貴重な書物でした。
最東はまったく詳しくないのですが、同行した直木賞作家といずこ作家は宮武骸骨の本だと言って騒いでました。(最東はポカーンとしてました)
明治・大正・昭和、と近代史初期の書物は紙の質が悪かったり(カストリ紙など)、劣化が激しくボロボロだったりしますが、完璧な形で保存されているもの多くとても貴重だと思いました。
館長のお話によると、館長であり創立者の九十九氏の息子でもある自分がいなくなればこの館の将来はわからないといいます。現状のところ引き継ぎの話はなく、展示物の行き場もまた大学などから打診はあってもはっきりした返事はしていないとのこと。
文化的・歴史的な価値があるもので溢れている東洋民族博物館、なくなってしまうのはあまりに惜しい。なにかいい形で後世に残してほしいですね。
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